みなさんこんにちは。インド担当の久保木です。
突然ですが皆さんは都会と田舎どちらに住みたいですか?私は自然が豊かで空気がキレイな田舎がいいですね。
今回の記事は、インドの大都市から離れることで生活に豊かさを取り戻したメンバーの心の内を綴った内容になります。南インドのITハブとして有名な都市ベンガルールは1000万人を超える人口を擁し、ユートピアであるかの如く多くの若者を引き付けてやみませんが、その一方でそこでの生活に疑問を抱き離れていく人たちもいるようです。そんな、今インドで起きている変化を伺い知ることが出来る内容になっています。最後までお読み頂けますと幸いです。
*弊社開発センターはベンガルール から70Km離れた小さな田舎町にあります。
人生の“リフレッシュ” ボタンを押す
ベンガルール:群衆の中にあって孤独
ここ数年間、私たちの生活の多くの場面で、混沌や不安の高まりが見られます。時に、自分たちが岐路に立っていることを感じます。本稿において、私自身の人生に対する見方や、過行く日々の中で抱く内面の葛藤、特にベンガルールという大都市の中で抱くものについて自分の気持ちを書き留めてみました。
ベンガルールにおいて、生活はビジネスが第一です。人口が爆発的に増え、経済活動の高まりにより、街のインフラへの負荷が多方面で高まっています。不十分なインフラは、大気汚染や水質汚染、ごみ処理の問題や異常気象、高騰する生活費など、生活のすべての面に影響を及ぼしています。街は徐々にグリーンシティとしての魅力を失いつつあり、そこでの生活はストレスの多いものへと変わってきています。
ロケーション技術のスペシャリストであるトムトムトラフィックのデータによると、ベンガルールは世界で最も混雑している都市の1つであり、毎日平均約1800台の新車が登録されています。
対照的な交通事情(左:ベンガルール 右:トゥマクル)
新型ウイルスのパンデミックによりロックダウンを余儀なくされた当初、これは不幸中の幸いで、より多くの時間を家族の為に使え、仕事の時間をセーブできるのではと考えていました。しかし実際は全くの逆でした。“WORK FROM HOME”ではなく“WORK FOR HOME”となり、24時間体制で、家族と仕事に対する義務を果たさなければならなくなりました。
パンデミックによって引き起こされたこのストレスの多い状況の中で、私は次のことを考えるようになりました。それは、私たちは大都市の中で、生活の本質的なものを徐々に失いつつあるということ、そして、生きることがまるで無限の物質主義的な夢を追いかけるようなものであり、自分自身のための時間がまったくないという限界に達しているのではないかということです。
トゥマクルでの生活:ターニングポイント
小さな町、トゥマクルにあるSCIIへの転職を決めるまで、そうした考えがずっと私をとらえていました。トゥマクルでの生活は、自分の人生において本当に必要な変化だったということが分かりました。ストレスが多く、単調で多忙な機械的なライフスタイルから離れて、SCIIの穏やかで緑豊かなキャンパスで働くことは、私の精神的回復と、創造性を最大限発揮することへの大きな助けとなりました。
大都市では、いつも人ごみの中であっても孤独を感じますが、ここでは、道を歩いていると、見知らぬ人から挨拶されることがあります。昔ながらの温かい人間関係が今も小さな都市で維持されているということを実感します。
ベンガルールでは、家族で外出すると大抵、最後はショッピングモールかレストランに行きつきます。そのような外出は、「家族と充実した時間を過ごす」という名前のついた仕事のようなものです。目的の場所に行くだけで体力を消耗し、私たちが求める幸せとは程遠いものになります。一方トゥマクルでは、私の一日は朝の散歩や、道端の小さなお店で同僚とチャイを飲みながらの議論、マーケットで野菜や果物を物色することから始まります。私は今、自分自身と過ごす十分な時間を持つことが出来ています。心から安らぎを感じ、生活に対して前向きになることが出来ています。幸福と充足感とともに。
真実とは、私たちが求めるすべてであり、また追い求めることは、人生の基本的な目標、つまり幸福と充足を見つけるための手段です。テクノロジーの業界にいる私たちは、常に創造的である必要があり、そのためには精神的落着きを保つことがきわめて重要です。トゥマクルのような小さな町へ移ったことは人生の“リフレッシュ”ボタンを押したかのようでした。そこで自分自身と向き合い、心の平和を模索する機会となりました。今後のトゥマクルでの素晴らしい日々を楽しみにしています。
(Deepak Anand)
トゥマクルでの日々のひとコマ
<おわりに>
最後までお読みいただき ありがとうございました。 如何でしたでしょうか。
ここ10数年、インドの人々の間では、ベンガルールのような都会で働いて、自家用車と3ベッドルームのマンションを持ち、週末はショッピングモールで買い物をする、そういったライフスタイルが理想として広がっているように感じます。しかし、急激な人口増加にインフラ整備が追い付かず、結果として都会での生活はとても快適とは言えない状況になっています。
そうした一方で、今回記事を書いてくれたメンバーのように、物質的な豊かさが優先される世界に疑問を持ち、精神的な豊かさへの回帰をはかる人たちも増えてきているようです。インドで最近SDGsへの取り組みが盛んになってきていますが、そのことからもインドの人々の価値観に変化を起きていることを感じます。今後どうなっていくのか楽しみです。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。
今後ともよろしくお願いいたします。
この記事を書いてくれたメンバー
<名前>Deepak Anand
<興味があること>
- アドベンチャーツーリズム
- 有機農業
- スピリチュアルブックを読む
- テニス
- ギター
- ガジェット収集
<ひとこと>
私は国際ビジネスの専門家として過去20年間にわたって日本とのプロジェクトに携わってきました。私は、仕事の場であれ、家庭であれ、楽観主義で物事を前向きにとらえることを好みます。社交的で国を問わず新しい友達をつくることが好きです。これらのスキルを活かして、会社の成長に貢献して参ります。
ー以下原文ー
Hitting the “Refresh” Button
Bangalore: Lonely in the crowd
The past few years have seen a surge in chaos and restlessness in most of our lives. Sometimes we found ourselves at a crossroads. I tried to pen down my true feelings about my perspective towards life and the myriad of internal struggles we face with each passing day especially in large cities like Bangalore.
In Bangalore, life is nothing beyond business. Due to increased economic activities and population explosion, the stress on the city infrastructure has increased manifold. Absence of adequate infrastructure, has impacted all aspects of life- congested traffic, air pollution, polluted lakes, climate change, Garbage disposal issues and skyrocketing cost of living. The city is gradually losing its charm as a green city and life is becoming stressful due to mad rush- haphazard life.
Going by Data of location technology specialist firm Tom Tom Traffic, Bangalore is one of the most congested cities in the world and daily average around 1800 new vehicles are getting registered. Currently it has around 9 million vehicles, which is thrice the capacity of existing road network. No wonder, on average daily 4 hours of productivity is lost here due to heavy congestion.
Initially, when lockdown imposed due to the Pandemic, I thought it may be blessing in disguise as we can devote much time to family and save enough work time. But alas! It turned out to be a complete mess. I ended up working “FOR HOME” instead of working “FROM HOME”. It became 24 hours affair to fulfil family and professional obligations.
The stressful situation added by the Pandemic, prompted me to think that we are slowly losing the essence of life in large cities and we have reached the threshold, where living is just like chasing an endless materialistic dreams, and you do not have time for YOURSELF.
Life at Tumkur: A Turning Point
These thoughts haunted me until I decided to join SCII at small city Tumkur. Life here turned out to be a much-needed change in my life. Away from the stressful, monotonous and hectic mechanical lifestyle at Bangalore, working in the serene and green campus of SCII, has helped me to revive mentally and focus on utilizing my creativity to the fullest.
In big cities, we always feel alone in the crowd but here you may be greeted even by unknown passers-by while walking on the road. Such gestures gives the feeling that the humane touch is still preserved in smaller cities.
In Bangalore, the family outings end up usually in malls or restaurants. Mostly such outings are like a routine job in the name of spending quality time with family; which drains our energy in reaching the spot itself; far from the happiness, we want to get. On the other hand, in Tumkur, my day starts with morning walk, discussion over “chai” with colleagues at roadside tea stalls, exploring vegetable shops, fruit shops etc. I have good enough time to spend with MYSELF. I felt better at heart and more compassionate towards life, happy and contented.
Truth is that everything we seek, or chase is a means to find the basic goal of life i.e., – happiness and satisfaction. Being in the tech industry, we must remain creative and for that maintaining mental composure is very crucial. Moving to smaller city like Tumkur, is just like hitting the “Refresh” button in life, where I got opportunity to go within MYSELF and explore inner peace. Looking forward to great days ahead in Tumkur.