【生成AI】活用するなら、プロンプト上手になりましょう!

本ブログは、当社配信のメールマガジン【プロンプトテクニック紹介しますシリーズ】を、加筆修正して再編集したものです。

目次

0.はじめに

 プロンプトテクニックをご紹介する前に、「言葉の意味」について整理してみます。
 「生成AI」とは本来、生成するコンテンツによって、言語生成AI、画像生成AI、音声生成AI、音楽生成AI、動画生成AIなどに分類されます。
 「大規模言語モデル(Large Language Model)」は、テキスト処理に特化した言語生成AIエンジンで、膨大なデータと多数のパラメータを学習した大規模なモデルのことです。

 最近の「生成AI」という言葉は、ChatGPTやCopilotそのものを指していることも多く、
   「LLM+チャット機能をパッケージング化したツール」
 という意味で使われているように思われます。

 本ブログでは、最近の使われ方に合わせて、「生成AI」を「LLM+チャット機能をパッケージング化したツール」の意味で使っています。

1.プロンプトテクニックとは?

 生成AIは「入力文(=プロンプト)」に基づいて応答を生成します。
 つまり、どのように問いかけるかによって、返ってくる答えの質が大きく変わります。

 この「プロンプトを工夫する技術」こそが プロンプトテクニック です。
 同じテーマでも、質問の仕方を変えるだけで、
  ・より具体的な提案
  ・読者に伝わりやすい整理
  ・実務に直結するアイデア

 が得られるようになります。

◆なぜ重要なのか?

 たとえば「製造業のIT課題をまとめたい」と入力しても、単なる箇条書きの説明しか返ってこない場合があります。
 ↓がその実例です。

 製造業のIT課題は以下です。
 ・生産設備の老朽化とシステム更新の遅れ
 ・IT人材の不足
 ・サイバーセキュリティ対策の不十分さ
 ・データの活用不足(IoTやビッグデータの活用が進まない)
 ・システム間の連携不足
 ・コスト削減と効率化の両立が難しい

 このような要求した回答ではない場合、生成AIって参考程度にしか使えないじゃん、と感じて、活用しないまま宝の持ち腐れとなってしまいます。

 生成AIを活用するには、プロンプトテクニックを使って求めたい答えを的確に引き出すことが重要なのです。

2.具体的な指示をしよう

 生成AIは、私たちが入力した文章をもとに確率を計算し、最も適切な単語を選んで回答を生成します。
 そのため、プロンプトが曖昧だと、意図した回答が得られないことがあります。

◆具体的な指示のポイント

 欲しい回答内容に必要な情報を明確に伝えましょう。。
 何についてどんな情報が必要なのかや、「200文字程度」と具体的な数値を指定したり、表示フォーマットを指定するのも良いです。
 また、言葉遣いを工夫するのも良いでしょう。生成AIは入力の文体に影響を受けるため、ですます調で記入するとより丁寧な回答が得られます。

◆具体的な指示の例

<あいまい>
 「織田信長って誰」

<具体化後>
 「戦国時代の武将織田信長の天下統一に向けた戦略を、800文字程度で教えてください」
 「織田信長の主要な戦いについて、年表形式で記述してください」

3.ロールを設定しよう

 「ロール」とは役割のことで、生成AIが回答を生成する際、どのような立場・視点・性格で応答すべきかを定義するフレームのようなものです。

 プロンプトに「ロール」を設定することで、より目的に合った回答が得られやすくなります。これは「ロールプレイプロンプティング」や「役割付けプロンプト」とも呼ばれるテクニックです。 

 生成AIでは、「文脈」によって出力を決めています。
 プロンプトでロールを設定すると、その「文脈(コンテキスト)」の中で自然にそのロールにふさわしい表現や情報が選ばれるようになります。

 つまり、「ロール」とは生成AIがどう振る舞えばいいかを導くガイドラインであり、生成AIからの応答を的確で一貫したものにするテクニックです。

●ロールを使うコツ

 具体的に設定するほど効果的です。また、どのような人に向けた内容にするのかの設定も効果があります。

  例:「あなたは経験20年の経営コンサルタントです」
    「初心者向けに説明して」

 これらを組み合わせると、さらに柔軟な応答が得られます。
  例:「あなたは優しいクマのキャラクターの英会話の先生で、5歳児に楽しく英会話を教えることができます」

 プロンプトには、まずロールを設定すること。「こういう回答が欲しかった!」と実感するための第一歩です。

4.タスクを分割しよう

 生成AIのタスクとは、プロンプトで与えられた指示に対して、自然言語を用いて回答を行う作業の単位のことです。 タスクが曖昧だったり範囲が広い場合は、回答も大まかなものとなるため、回答の品質が低くなります。

 そこで、生成AIに考慮してもらう範囲をより限定することで、精度の高い回答を得る。これが「タスクの分割」です。

◆タスク分割の例

 マーケティング戦略の草案を作成したい場合を例に。

 タスク分割:
  1. まず、新製品のターゲット市場を特定してください。
  2. 次に、競合分析を簡単にまとめてください。
  3. 続いて、3つのプロモーション戦略を提案してください。
  4. 最後に、戦略の全体像を500文字以内でまとめてください。

◆タスク分割の効果とは

 生成AIは、プロンプトの文脈と指示の明確さに強く依存して動作するため、複雑な処理を一度に依頼するよりも、段階的に明確なサブタスクへ分割することで、精度と一貫性が大きく向上します。

 タスク分割により、不要な解釈の余地を減らし、明確な意図を伝えることができるため、モデルの推論品質を安定させやすいのです。

5.ステップバイステップで考えよう

 生成AIが文章生成を行う時は、単語を一つ一つ順序だてて予測しています。
 プロンプトから与える指示も、生成AIが自ら順序を考えてもらえるような指示を出すことで、回答精度を上げることが期待できます。

●ステップバイステップの2つの方法

 方法1は、プロンプトに「ステップバイステップで」と明記する方法で、
 方法2は、生成AIに考えてもらう流れを、ステップごとにプロンプトに記入する方法、です。

●2つの方法の例

 なにも明記しない場合「ChatGPTの使い方を教えてください。」

 方法1:文言を明記
   「ChatGPTの使い方を説明してください。初めて使うので、ステップバイステップで教えてください」


 方法2:ステップごとに記入
   「ChatGPTの使い方を説明してください。初めて使うので、以下の手順に沿って教えてください。
    1.アカウントの作成方法 2.ログイン方法 3.プロンプト入力の例

●ステップバイステップの効果

方法1はとても簡単な指示ですが、この文言を記入しただけでChatGPT3の性能が向上した、という論文もあるそうです。
 https://arxiv.org/abs/2205.11916  ←英語の論文です

複雑な指示やあいまいな回答になりそうな場合に、ぜひ使ってみて下さい。

6.制約条件を提示しよう

 生成AIのプロンプトテクニックにおける制約条件とは、生成AIが回答する際に必ず守ってもらうルールを指定することです。
 次のような内容が該当します。
 ・文字数や内容の限定
 ・形式やスタイルの指定
 ・根拠やデータソースの明示
 ・禁止事項
などです。

◆制約条件提示の効果

 制約条件を生成AIに提示することで、回答内容が限定され、必要な情報だけを回答させることができます。

 表形式/UML形式など形式の指定では、生成AIの回答をそのまま活用することが可能になるので、生産性の向上が期待できます。また、難しい専門用語を禁止することで、分かりやすく回答させることもできます。

◆制約条件の例

 具体的な制約条件の例を、いくつかご紹介します。
  「Pythonの特徴を、他の言語との比較形式で、500字以内で教えてください」
  「織田信長の主な合戦について、発生年、相手、勝敗を表形式で作成してください」」
  「従業員の出退勤についてユースケースを作成するために、UML形式で作成してください」
  「光電効果について、難しい専門用語を使わずに説明してください」

◆制約条件の活用方法は

 制約条件を指定することで不要な情報を避けることができますが、反面、自由度が下がるため、意外性のある回答や斬新な視点が失われることにもなります。
 アイデアが欲しいとか発想を転換したい場合は、制約条件を弱めても良いでしょう。

 制約条件に強弱をつけることが、生成AI活用の1つのポイントです。

7.テクニックを構造的にお願いしよう

 これまでに紹介したプロンプトテクニックをただ織り交ぜるだけでは、かえって複雑になって理解し辛いプロンプトになってしまうかもしれません。

 プロンプトには、構造的に指示を与えることで回答精度が上がります。

◆プロンプトの構造化

 プロンプトテクニックを使いながら、指示文章を構造的に記載する方法として、「マークダウン記法」があります。
 言語生成AIもこの記法を大量に学習しているため、読解力が向上し、回答の精度も劇的に向上します。

◆マークダウン記法の例

 以下に紹介する例では、使用しているプロンプトテクニックを「###」で区切り、構造を明確にしています。

  ###指示
  あなたはエクセルのスペシャリストです。エクセルの表データを確認し、リバースエンジニアリングしてください。

  ###プロセス
  1.与えられたデータを確認し、エクセルの数式があるか確認し、列挙してください。
  2.数式が何をやっているかを解説してください。
  3.1~2を繰り返し、処理の概要を出力してください。

  ###エクセルの表データ
  (略)

 「指示」では、ロール設定と具体的な作業指示を明記。
 「プロセス」では、タスク分割とステップバイステップでの実行指示を明記。
 略していますが、「エクセルの表データ」では、表示形式の明確化を行っています。

◆マークダウン記法では

 何が記載されているのかを、見出し、段落、リスト形式、表形式等で表現することにより、理解しやすいプロンプトとなり、回答の精度が高まります。

8.プロンプトのことはプロンプトに聞け

 これまでに紹介した様々なプロンプトテクニック。
 いざ使おうとすると、どのプロンプトテクニックを使って、どのように記述すれば、生成AIが適切な回答を生成してくれるのか、迷ってしまうことがあります。

 そんなときは、プロンプトにとって分かりやすい表現に変える最も簡単な方法を、使ってみてはいかがでしょうか。
 その名も――――
    「プロンプトのことはプロンプトに聞け」

 では、実際にやってみましょう。

◆プロンプトに聞いてみた

今回、生成AIに投げかけた入力文はこちらです。

  効率的なプロンプト入力用の文言を作成してください。
  例として『製造業のIT課題についてまとめたい』を使ってください。

すると、次のような “汎用ひな型” と 具体例 を返してくれました。

 汎用プロンプト作成のひな型
  あなたは【専門分野】に詳しい専門家です。
  【対象】について、【目的】のためにまとめてください。
  条件は次の通りです:
   1. 【出力形式】(例:表形式、箇条書き、500字程度など)
   2. 【観点】(例:コスト、効率化、人材、技術トレンドなど)
   3. 【制約条件】(例:専門用語は使わず中高生にも理解できる言葉で、など)

 実際の例(製造業のIT課題)
  あなたは製造業に詳しいITアナリストです。
  製造業のIT課題について、経営層に説明するためにまとめてください。
  条件は次の通りです:
   1. 出力形式は表形式(課題・原因・解決の方向性)
   2. 観点は「コスト」「人材不足」「データ活用」「セキュリティ」
   3. 専門用語は避け、わかりやすい言葉で

◆プロンプトに聞くメリット

 この方法なら、プロンプト作成に悩む時間は不要です。
 AI自身が「誰に」「何を」「どうまとめたいか」の構造を示してくれるので、あとはその枠に情報を埋めるだけ。

 まさに、「最もシンプルですぐ使える」テクニックといえるでしょう。

9.まとめ

 当ブログでは、生成AIを有効活用するための「プロンプトテクニック」を、ご紹介いたしました。

 でも、すべて組み合わせて使う必要はありません。皆さまの業務に相応しいテクニックを選択して、生成AIを活用していただければ幸いです。

 もし、活用方法にお悩みでしたら、専門家に聞くのが一番です。プロンプトに聞いても良いでしょう。

 それでもお悩みが解決しない場合、当社では無料相談を受け付けております

 生成AIに詳しい担当者が、当社実績も含めて分かりやすくご案内いたします。

 下記URLでは、当社の生成AI関連のソリューションをご紹介しております。
  https://lp.ksc-dev.com/chatGPT/index.html

 どうぞお気軽にお問い合わせください。


最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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