脱炭素社会
2020年10月26日、菅総理は所信表明演説において「2050年までにカーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指す」と宣言しました。
令和2年10月26日 第二百三回国会における菅内閣総理大臣所信表明演説
菅総理の演説では、積極的に温暖化対策を行うことが大きな成長につながることも言及しています。主にエネルギー関連分野に関する内容でしたが、情報システム、ITの分野では、脱炭素につながる対策として何ができるのでしょうか。
「脱炭素」の対策を検討するには、まず二酸化炭素量の状況を確認しようと思います。過去からの推移はどうなっているのでしょうか。
二酸化炭素の状況を調べてみた
南極氷床(アイスコア)の分析による過去80万年間の連続的な観測記録によると、大気中の二酸化炭素の平均濃度は変動幅はあるものの、概ね170~280ppmで推移しているという結果が出ています。そして現在は急上昇していることが読み取れます。
日本ではすでに縄文時代に入っていたとされる約1万年前からのグラフでも、直近の数百年間での二酸化炭素濃度の伸びが急激であることがよくわかります。
もう少し、現在に近いスケールでの観測結果では、産業革命以後、二酸化炭素濃度は急激に上昇し始め、18世紀の終わりには 300ppmを超え、20世紀の終わりには 380ppmに到達し、まだ上昇を続けていることが分かります。現在は400ppmを超えている、と言われています。
これらのことから、約200年前からの急激な二酸化炭素濃度の上昇は、産業革命後の人間の産業活動によるものということが分かります。
日本の二酸化炭素の排出状況は
では、日本の産業活動などによる二酸化炭素排出量と、その起源はどのようになっているのでしょうか。
生産者側の排出としての計上では、エネルギー転換部門すなわち発電所関連が多いという結果が出ています。
では、なぜ発電による二酸化炭素の排出が多いのでしょうか。
この電源構成のグラフで分かるように、石炭やLNG、石油などの化石燃料による火力発電の割合が高い(消費電力の76%)ことが、発電による二酸化炭素の排出が多い要因と言えそうです。
この状況を踏まえて、カーボンフリー/脱炭素の目標に向けてIT部門ができること、SIerができることは何かを考えてみようと思います。
IT部門でできることは何か考えてみた
日本の二酸化炭素の排出は発電関連が多いこと、電源構成は圧倒的に火力発電が多いことを考えると、電力をなるべく使わないようにすることが火力発電による二酸化炭素の排出を削減する方法なのではないかと考えています。
IT部門がなるべく電力を使わないようにするには、どのような策があるか。それは、サーバの負荷を減らすことができれば、電力消費量も減らすことができるのではないかということです。
この前提で当社がおすすめするサーバ負荷削減策は以下の2点です。
・データベースをチューニングして、データベースサーバの処理負荷を減らす
・自社保有サーバをパブリッククラウドに移行する
どのような効果が期待できるでしょうか。
・データベース・チューニング
短いDML文でも、データベースサーバ内では多くの処理が行われ、CPUやメモリが余計に使用されている場合が散見されます。結合条件の設定がうまくなく全件検索していたり、索引が使われていなかったり。
また、ブロックサイズの設定によっては、ディスクも有効に使えていなかったり。
このような処理が積もり積もってデータベースサーバの負荷を高め、電力消費を無駄に高めてしまっています。
当社のデータベース診断・チューニングサービスをご活用いただき、データベースサーバを効率的に運用して、消費電力量の削減に寄与いたしましょう。
・パブリッククラウドへの移行
ウェブサーバ、データベースサーバを商用パブリッククラウドに移行することは、自社の電力消費量を大幅に削減することができるので有効な対策と言えます。料金体系が従量課金であることも多いため、休日や深夜帯など、システムを使用しない時間帯にサーバを止めるという運用を行うことで、費用面でも消費電力面でも省力化を図ることもできます。
また、自社保有サーバでシステムを構築する場合、基幹システムのような重要なシステムであればあるほど、ホットスタンバイといった冗長性を持ったシステム構成をとります。近年はゲリラ豪雨などの気候変動も大きいため、BCP(事業継続計画)、その一環としてのITシステムのDP(災害対策)としても、遠隔地でのITインフラの冗長化は必須と考えられています。
ですが、商用のパブリッククラウドの場合、同一地域での冗長化が担保されていることが多く、またデータセンターも複数地域に展開しているため、BCP対策やDR対策も可能です。
自社で構築していたBCP対策やDR対策も含めてパブリッククラウドに移行することが可能なのであれば、自社での電力消費の大幅な削減につながります。
この対策は自社の電力消費量がそのままパブリッククラウドベンダーに移っただけで、二酸化炭素排出量は変わらないんじゃない? そんな疑問を持たれるかもしれません。
商用パブリッククラウドを展開しているベンダーには、環境問題に積極的な企業もあります。クラウドベンダー選定時に、環境保護への意識の高いベンダーを選ぶという方法も、脱炭素への貢献のひとつと考えてよいと思います。
米アマゾン・ドット・コムが、日本のデータセンター向けに再生可能エネルギーの調達を目的とした発電所の新設を検討していることが分かった。(中略)クラウドで世界シェア首位のアマゾンは世界80カ所にデータセンターを持つ。25年までにデータセンターで使う電力をすべて再生エネ由来にする方針で、すでに欧米を中心とした62カ所で太陽光や風力による発電設備を設置している。
日本経済新聞オンライン 2021年5月14日
「2030 年までにカーボンネガティブを実現するという目標の進捗状況について」
Microsoft News Center 2020年7月28日
マイクロソフトでは、2025 年を目処に、データセンターで日々利用する電力の 100% を再生可能エネルギー電力でまかなえるよう買電契約を結ぶ方針です。今回、2030 年までにディーゼル燃料の使用をやめるよう目指していることも新たに発表します。
では次に、 さきほどサーバ負荷削減策としてご提示した2点について、当社がご提供する具体的なご支援内容をご説明いたします。
脱炭素社会に向けて当社がご支援できること
・データベースをチューニングして、データベースサーバの処理負荷を減らす
当社は国内随一のデータベース・プロフェッショナル集団であり、SQL Server・OracleDB・Db2など、主要データベースの構築からチューニングまでをワンストップでご提供できる、業界でも数少ないプレーヤーです。
このデータベース・コアテクノロジーをフル活用した、「データベース・チューニング支援サービス」をご提供しています。
・データベースを多角的に診断
・SQL文、オブジェクト、メモリ、ディスクI/O、設定パラメータ、ログなどからボトルネックを洗い出し
・改善ポイントのご提示
ご提示した改善ポイントのシステムへの適用は、お客様ご自身でご対応いただくことも可能ですし、チューニング作業自体を当社で行うことももちろん可能です。
当社のデータベースサービスは、こちらをご覧ください。
株式会社システムコンサルタント データベースソリューションサービス
30年にわたる当社の豊富なデータベースナレッジをあますところなくご提供する、ワンストップ総合支援のご案内は、こちら↓のブログもご参照ください。
・自社保有サーバをパブリッククラウドに移行する
当社がクラウド移行をご支援する場合、まずは「計画を策定」します。クラウド化のゴールを想定し、ゴールにいたるアプローチを決定します。
早急な二酸化炭素排出削減をゴールに想定したのであれば、アプリケーションやシステム環境をそのままクラウドに移行するアプローチの「リフト」で良いでしょう。移行対象のシステムが改修要望の多いシステムであれば、クラウドネイティブな環境へモダナイゼーションするアプローチの「シフト」をご提案することもあります。
次に実装への戦略を立案します。
アプローチが「リフト」であればそのまま「リホスト」するプランをご提案します。
クラウド化とともにモダナイズ化するのであれば、最小限のアプリケーション変更のみ加える「リファクタ」から、クラウドプラットフォームへの最適化を行う「リアーキテクト」まで、お客様の要望や当該システムの特性に合わせて最適なプランをご提案します。
その後は、クラウドへの移行作業を当社にて行います。
移行実績としては、観光業界のお客様で、オンプレミスの基幹システムをパブリッククラウドに移行した実績や、楽曲のデータを多数お持ちの音楽業界のお客様では、データベースをオンプレミスからパブリッククラウドへ移行した実績など、多数ございます。
当社のクラウド移行については、こちら↓のブログもご覧ください
おわりに
脱炭素社会に向けたIT部門の取り組みにご興味がございましたら、こちら までお気軽にご連絡くださいませ。
地球誕生から46億年、地球環境はいろいろと変わってきたといわれています。現在は新生代第四期完新世、寒冷な氷期と氷期の間の比較的温暖な間氷期で、今後はまた氷期に向かうのでは、という意見や、氷期に向かっていた地球環境に人類がストップをかけ新たな地質年代の「人新世」に入っている、という説も出ているようです。
このように将来の地球環境がどのようになるのかは分かりませんが、私たちの子どもたち、孫たちさらにその子どもたちから
「あのころの人たちがもっと二酸化炭素排出削減を本格的に対応していれば・・・」
などと思われないように、将来の地球環境を守るためにも、IT部門として今できることを少しずつでも実践していきましょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。