公正取引委員会の知財報告からわかること

今年6月に公正取引委員会から、「製造業者のノウハウ・知的財産を対象とした優越的地位の乱用行為等に関する実態調査報告書」が公表されました。

知財管理をご担当されている方とお話をしていて、この調査報告書について意外とご存じの方が少ないと感じましたので改めてご案内いたします。

公正取引委員会のHP https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2019/jun/190614.html
によると、今回の調査を実施した背景として、『有識者から「優越的な地位にある事業者が取引先の製造業者からノウハウや知的財産権を不当に吸い上げている」といった指摘が複数寄せられている』ことから、製造業者に対して30,000通の調査票を送付し、15,875通の回答を得、これを報告書としてまとめたそうです。

報告書には、「ノウハウの開示要求」や「名ばかりの共同研究」など多くの事例が紹介されています。

例えば、

「ほとんど自社の技術を用いて行う名ばかりの共同研究開発であるにもかかわらず、その成果である新技術は、発明の寄与度に関係なく、全て取引先のみに無償で帰属するという取引先作成の雛形で契約させられ、新技術を奪われる(ゴム製品製造業)」

製造業者のノウハウ・知的財産権を対象とした優越的地位の濫用行為等に関する実態調査報告書(全体版) P.38より一部抜粋

といったような事例が紹介されています。

報告書に記載されている事例のほとんどは、取引先に有利な条件で契約を締結させられたという内容です。

公正取引委員会も今後の対応として、

①事例を広く周知する
②違反行為には厳正に対処する

としています。

取引先とトラブルが発生した際には、もちろん公正な契約が交わされていることが重要ですが、話し合いを行う為には証拠が必要となりますので、弊社の電子公証サービスなどで日頃から証拠を残しておくことが大切です。

また、取引先に提出する提案書や図面などは、事前に自社が保有する情報であることを証明する為に電子公証を行い、さらに提案書や図面に電子公証シールを添付することで、牽制効果を期待することができます。

電子公証シールは、電子公証サービスご利用中のお客様が、公証登録済みの電子文書に貼付することで、公証登録済みであること、つまり、この文書には電子的な証跡を付与しているということを明示するためにご用意したものです。

主に、知財関連で、公証登録済みの電子文書であることを、提示先へ明示し、牽制したい場合にご使用いただくことを想定しております。

電子公証シール使用例