目次
- カスタマージャーニーマップとは?
- 準備
- 当日の手順
- 発表
- やってみて…
1.カスタマージャーニーマップとは?
マーケティングの手法として、カスタマージャーニーマップというものが昨今注目を浴びています。
顧客が商品やサービスを購入・利用するまでの道のりの事を「カスタマージャーニー」と称し、その顧客体験を図式化したものを「カスタマージャーニーマップ」と呼びます。
カスタマージャーニーマップの作成手順の詳細については、「カスタマージャーニーマップってナニ?」という記事に記載していますので、併せてお読みください。
そんな注目を浴びている「カスタマージャーにマップ」の作成を、大胆にも今年の新人研修でやってみました。その時の様子や実際にカスタマージャーニーマップ作成のグループワークをファシリテートした感想をこの記事で共有したいと思います。
2.準備
- ホワイトボード
- 付箋(4色)
- 太めのサインペン
上記を三つを用意しました。
ホワイトボード
ホワイトボードには、
- マーケティング対象サービス
- ペルソナ
- ステージ
- 行動
- 接点
- 感情
- 対応策
を書く欄を事前に書き込んでおきました。
ホワイトボードの代わりに、大きな模造紙を使ってもよいです。
付箋(4色)
「行動」、「接点」、「感情」、「対応策」を色分けしてホワイトボードに貼っていくため、4色の付箋を用意しました。
太めのサインペン
記述した内容が遠くからでも見えるよう、太めのサインペンを用意しました。
カスタマージャーニーマップの作成において、ホワイトボードの情報をメンバーで共有するというのが一つのポイントになるので、なるべく見やすくなるよう、工夫が必要です。
ファシリテートのポイント
カスタマージャーニーマップの作成にあたって、陥りやすいミスが2つほどあります。
- ペルソナ(想定している人物)の行動とは言い難い行動が挙げられている
- ペルソナの情報が不足している
① ペルソナ(想定している人物)の行動とは言い難い行動が挙げられている
カスタマージャーニーマップの作成で重要な点は、ペルソナの行動パターンを想像し、ペルソナがどんな感情を抱くのかを想像することです。
例えば、ペルソナが「SNSをよく見る若い男性」で、「一人暮らしで休日は友人と外出する」、「テレビは持っていない」といった特性を持っていたとします。
で、行動を洗い出すフェーズに入ったときに、ペルソナが「テレビCMでサービスを認知する」という行動が挙がったとします。
ペルソナの情報を改めて確認すると、「テレビは持っていない」という特性が存在するので、テレビCMを見る機会が極めて少なく、テレビCMでサービスを認知するという行動が極めて稀なケースだということが分かります。
意見を出した人は、恐らく、自分自身がテレビCMで情報を入手することが当たり前となっているためにそういった意見が出てしまったのでしょうが、こういったケースが多く見受けられました。
ペルソナがどんな行動をとるのか? ペルソナの行動パターンなどから読み取り、意見を出す必要があります。
② ペルソナの情報が不足している
ペルソナの情報が少ないと、「1.ペルソナ(想定している人物)の行動とは言い難い行動が挙げられている」でおこなったようた確認作業が出来なくなってしまいます。
ペルソナがどんな性格なのか? どんな家族構成、趣味なのか? など、些細な情報でも構わないので、より多くの情報を付与してあげることで、精度の高いカスタマージャーニーマップを作成することができます。ターゲットのスコープを広くし過ぎないことで、本当にサービスを届けたい人(層)を意識したカスタマージャーニーマップを作成することができます。
ファシリテーターは、上記2点のポイントを意識しながらカスタマージャーニーマップの作成を手助けしてあげることが重要です。
3.当日の手順
以下の手順で、カスタマージャーニーマップを作成してもらいました。
・カスタマージャーニーマップの概要説明
・グループワーク
Step1:マーケティング対象サービスの選定
Step2:ペルソナの設定
Step3:顧客行動の書き出し
Step4:顧客行動のステージ分け
Step5:顧客接点の洗い出し
Step6:顧客の感情変化を想像
Step7:対応策の検討
・発表
ファシリテーターの関与が特に必要なのは、Step2とStep3です。
Step2:ペルソナの設定
ペルソナにどこまで情報を与えればよいか、初めての人には判断が難しいので、ファシリテーターが「足りないかな?」と思ったら、
「このペルソナは、休日何をしているのか?」
「このペルソナの通勤手段は?通勤時間は?」
「このペルソナの最近の悩みは?」
など、ペルソナの情報を増やしていく手助けをする必要性があります。
Step3:顧客行動の書き出し
自身の体験をベースに考えてしまう人が多いので、「その行動は本当にペルソナが取るであろう行動ですかね?」という確認を都度おこなってあげる必要があると思います。
Step7まで作業を実施するとこちらのような、カスタマージャーニーマップを作成することができます。
4.発表
各グループに10分でプレゼンしてもらいました。
5.やってみて…
当初の狙い
カスタマージャーニーマップ研修を実施した一番の目的は、エンドユーザーのことを考えるきっかけを提供することでした。
もし、アプリの画面が使いづらいものであったら、利用者は離れていってしまいますので、エンドユーザーにとって、どういう画面がよいのか? ボタンの場所はここでよいのか? というのを、ユーザーの立場・目線でチェックしながら開発を進めることが求められますが、新人のうちは、開発に手一杯でエンドユーザーの事を忘れてしまうことが多々あります。
なので、カスタマージャーニーマップの作成を通して、エンドユーザーを想像するきっかけを提供できればと思い実施に至りました。
また、カスタマージャーニーマップは、顧客の視点を中心にマーケティングを実施します。
顧客行動パターンを想像して、解決策を見出します。
エンドユーザーを想像し開発することが求められるエンジニアにとって相性がいいマーケティングの手法なのではないかと感じました。
やってみた感想
始めは、自身の体験・知識がもとになっているような「行動」が挙がっていましたが、「それは、本当にペルソナの体験なのか?」ということを意識していくうちに、途中からは、ペルソナになりきって、行動や感情を洗い出せていけるようになっていったのが印象的でした。