はじめに
2017年ごろから一気に広まった「RPA(Robotic Process Automation)」。
RPAとは「ホワイトカラーの定型業務をロボットで自動化する技術(仕組み)」であり、これまで人間が行ってきた定型作業を「ロボット(デジタルレイバー / 仮想知的労働者)」にやってもらおう、といった考え方です。
RPAについて話す時に必ず出てくる「RPAツール」ですが、今回の記事では「RPA」と「RPAツール」は分けて考えたいと思います。
「RPA ≒ 業務の自動化の技術(仕組み)」と捉えた場合、「業務の自動化」の実現方法は「RPAツール」だけではないのでは?といった点を今回の記事ではお話しします。
「RPAツール」以外でのRPAの実現方法をお話しする前に、RPAの目的と、実施するまでのステップについて簡単に記載します。
目次
- RPA(業務の自動化)の目的
- RPA(業務の自動化)の進め方
- RPA(業務の自動化)を実現するためのロボットとは?
- BIツールを使ったRPA(業務の自動化)の実現
- 最後に
RPA(業務の自動化)の目的
RPAに取り組む目的は様々ですが、大きくは以下のような目的になるかと思います。
- 業務の効率化(人手不足/長時間労働の解消)
- 経験値に頼り属人化した業務の標準化
- 単純作業の繰り返しによる人的ミスの削減
まず思いつくのは「1. 業務の効率化」ではないでしょうか?
「複数のExcelファイルのデータを1つにまとめる」「出来上がった帳票を定期的に配布」「日次の報告書作成」。どれも大切な仕事ですが、毎回同じ作業を繰り返し行っているだけ…。
こういった単純作業をロボットに任せることで、1人1人の作業量の軽減や、必要な人員の削減が期待できます。
また、単純作業を減らすことで、人間でなければできない創造性やひらめきが必要な作業に時間を充てられるといったこともメリットになります。
「2. 経験値に頼り属人化した業務の標準化」は、長年1人で行ってきた業務や秘伝の報告書など、特定の人が温め続けた業務の標準化への取り組みです。
ロボットに作業をさせるためには、その作業がどんなフローで進みどんな分岐が発生するのかを整理する必要があり、こういった業務の整理を行うことで、属人化した業務の標準化が進みます。
業務の整理は当然人間が行う必要がありますが、「整理した結果ロボットに任せられる」といったメリットがあれば、中々進められなかった作業の整理を行うきっかけになるのではないでしょうか。
「3. 単純作業の繰り返しによる人的ミスの削減」は、定型作業を繰り返し行えるロボットのメリットになります。
どんなに単純な作業でも、繰り返し行っているうちにミスをするのが人間であり、そのミスをカバーするために想定外の時間を割いてしまうこともあります。
不必要なミスを減らし、業務を効率的に進められる環境作りも目的の1つです。
RPA(業務の自動化)の進め方
「業務をロボットにやってもらい人間の作業時間を削減できる」といっても、当然どんな業務でもロボットが行えるわけではありません。
RPAの運用を進める際は、「まずはどんな作業であればロボットに任せられるか」といった検討が必要です。
運用開始までの流れは、大まかには以下になります。
- 業務の整理・棚卸
- 業務フローの再考
- ロボットでの自動化方法の検討
- 作業開始
まずは「1. 業務の整理・棚卸」を行います。
業務を行っているユーザー部門から、「どんな業務をどんな目的でやっているのか?」といったことを、細かく整理してもらう必要があります。
これは「ロボットができる/できない」といった基準で作成するのではなく、純粋に各業務の整理を行うことが目的です。
続いて業務の整理で作成された一覧から、「2. 業務フローの再考」を行います。
並べた業務を確認し「本当に必要な業務なのか?」「もっと簡単なやり方はあるのではないか?」といったことを改めて考える場になります。いくら自動化するとはいえ、必要ない業務を行っては意味がありません。
実際ここのフェーズで、自動化を検討する前に「不要な業務なので業務自体廃止」といった判断になるケースも少なくないようです。
必要な業務が整理されたら、「3. ロボットでの自動化方法の検討」になります。
整理された業務の中から、ロボットが行えそうな業務(定型・単純作業)を選び、その実現方法について検討します。
完全にロボットに任せるのか、人間とロボットで行うのかといった所から判断が必要です。
業務の整理が終わり各業務の担当が決まったら、実際に動くロボットの準備に入ります。
RPA(業務の自動化)を実現するためのロボットとは?
これまで「人間の定型業務をロボットに自動化してもらおう」といったことをお話ししてきました。
では、ここまで出てきた「ロボット」とは具体的には何なのでしょうか?
まず真っ先に浮かぶものとしては「RPAツール」と呼ばれる製品です。
「RPA = RPAツール」と認識されている人もいますが、ここでは「RPAツール」は「RPAを実現するためのツール(ロボット)」の1つであると定義しておきます。
「RPA」という概念と共に生まれた「RPAツール」ですので、当然自動化を推進する上では有効なツールの1つです。
しかし「業務の自動化」という観点では、これまでもツールがありました。
手軽に実践できる部分では、Windowsのタスクスケジューラーや、Excelの関数群、VBA/マクロなど。
また、パッケージシステムでは、データを管理する顧客/売上管理システム、管理されているデータを活用するBIツール、勤怠管理や名刺管理など、様々なシステムがあります。
こういった既存の資産を組み合わせて使うことで、RPAツールを導入しなくても定型業務を自動化してくれる「ロボット」を運用することが可能です。
RPAツールを含むそれぞれのツールは、自動化する業務によって得意・不得意がありますので、どの業務でどのツール(ロボット)を使うのが最適かといった判断をすることは大切です。
「自動化ツール(ロボット)を導入したからあとは大丈夫」ではなく、人間と同様に適材適所でツールを使う必要があります。
ここでは、データ利活用の分野で、BIツールを使った業務の自動化について説明します。
BIツールを使ったRPA(業務の自動化)の実現
RPAツールは、様々な業務に対して自動化の設定が行えるため、効率化を行える業務の幅が広いです。
BIツールが自動化できる範囲は当然「データ利用をしている業務」に限定した話になりますが、業務に特化したツールの分、操作の簡易さや設定の細かさはBIツールの方が得意です。
今回は「データの抽出」「帳票の作成」「帳票の配布」といった業務を自動で行える例を簡単にご紹介します。
データの抽出から帳票の配布の流れは上記の図のようになります。
売上報告資料や、発注情報、勤怠情報など、日々変わるデータを使って作成する報告資料は多岐にわたります。
それらの報告書を作成するまでの「データ取得」や「帳票作成」部分、また作成した報告書の「配布」まで全て人が介在しています。
もちろんこれらの作業を行わないと、必要な資料が必要な人へ渡らないため大事な仕事です。しかし、作業自体は毎回同じ作業の繰り返し(定型作業)です。これらの作業は全てツールで置き換えることができます。
行っていることは非常にシンプルですが、こういった流れをスケジュール登録しておけば、人の手を介さずに毎日報告資料を関係者に届けることが可能です。このように特定の業務の自動化であれば、必ずしも新たにRPAツールを導入しなくても「RPA(業務の自動化」は実現できます。
「ロボット(ツール)が自動的に業務を行ってくれる」と聞くと、大掛かりな仕掛けが必要な印象を持ちますが、「業務の自動化」という観点で考えれば、今導入されているツールでも対応できる業務はあるはずです。もちろん、RPAツールを導入することでより広範囲の業務にわたる自動化も実現できるため、要望に応じたツールの選定は必要です。
とりあえずツールを導入するのではなく、まずはどんな業務が社内にあるのか?それぞれどんな自動化の方法があるのか?といったことを調べ、業務にあった適材適所のRPAを実現してみてはいかがでしょうか?
最後に
我々、システムコンサルタントは、BIツールの製造・販売・サポートを自社で行っている国内メーカーです。
1990年代から様々な業種のお客様にご利用いただいており、そこで蓄積されたノウハウを元に、お客様の業務に最適なご提案をしております。
業務の自動化、効率化が求められている今、新たにRPAツールを導入するだけでなく、社内システムをフルに活用したDX(デジタルトランスフォーメーション)が求められています。
弊社では BIツールを使ってRPAを実現する「Excellent/WebQueryお手軽RPA」というサービスをご提供しています。ご興味のある方は是非お問い合わせください。