インド法人でのAIへの取組み・その3「ビーコンを社員の位置情報把握に活用しました」

 当社のインド法人 System Consultant Information India(P) Ltd.(略称SCII)では、最新技術にも取り組んでいます。その中から今回は、BLE Beaconを活用した位置情報把握ついてご紹介いたします。

SCII正面玄関

<Beaconとは>

 Beacon (ビーコン)とは、定期的に周囲に向けて光や電波などを発する装置のことを意味し、IT分野では通常、周囲に機器の現在位置や識別情報などを知らせる小型の発信機のことを指します。

 SCIIで位置情報把握のために使用したのは、社員が保有するスマートフォンを受信器として想定したため、「BLE Beacon」です。

BLE(Bluetooth Low Energy)とは、IT用語辞典によると次のように説明されています。

 近距離無線通信技術Bluetoothの拡張仕様の一つで、極低電力で通信が可能なもの。
 2010年7月に発表されたBluetooth 4.0規格の一部として策定された。
 つまり、通常のBluetoothより消費電力を抑えた技術ということになります。
 このBLEの電波の信号強度を使うことで、距離を推定し測位できるということです。
 wifiよりも電波強度は弱くなるのでその点だけ注意です。

IT用語辞典 https://e-words.jp/

<Beacon活用事例>

Beaconを活用した事例は多くあります。
 Line Beacon:ビーコン端末が設置された店舗、機械からLineを介してクーポンやセール情報を受け取ることができる
 MLB.com Ball Park(アプリ):アメリカのメジャーリーグでは球場に100個以上のビーコン端末を設置し、チケット情報を元に座席を案内したり、球場の情報を受け取ることができる
 Travel Radar:ドイツの生まれのアプリで自分の荷物にビーコン端末を入れることで空港内の自分の荷物の居場所がアプリ内で確認することができる

<今回の目的>

 今回のSCIIで行ったことは社員の位置情報のリアルタイム把握、すなわち社員が今、社内のどこにいるのかをBeaconを活用して自動検知する、という実証実験です。

 位置情報を取得する方法としてはGPS(Global Positioning System、全地球測位システム)もありますが、今回の目的は、社員がオフィス内のどこにいるのか、どの会議室にいるのかを把握することなので、GPSは採用しませんでした。

<ビーコンからのデータ収集の考え方>

社員のスマホにはモバイルアプリをインストール、ビーコンは社内の3か所に設置しておく。

データ収集イメージ

 1.電気信号の強さをスマホで感知
 2.モバイルアプリで、ビーコンとモバイル間のおおよその距離を算出し、クラウド上のWebアプリケーションに転送
 3.Python-Djangoで構築したWebアプリケーションで、デバイスの位置情報をデータベースに記録
  ※Djangoは、Pythonで実装されたWebアプリケーションフレームワーク

<位置把握方法>

 社内のどこにいるか、はどのように把握するか。
 フロアをある大きさのマス目に区切ります。今回は7m四方のエリアを、たてよこ1m×1mの49マスに区切りました。

 各マス目の真ん中と3つのビーコンとの距離を、事前に計測しておきます。
 電波は球状に広がりますが、ある社員の位置情報は、3つのビーコンとの距離を平面と仮定し「3つの円の交点」に近いところが、どのマス目に該当しているかで判断します。

<位置情報判断の例>

 ある社員の携帯電話が、3つのビーコンからそれぞれこの図のような距離になっています。

この距離のデータを三点測位アルゴリズムで使用して、携帯電話がどの区画にあるかを計算します。

<三点測位アルゴリズム>

 三点測位は光波測距儀などの距離測量によって得られた距離から、角度や座標を特定する方法といえます。

 図では、Beaconから携帯電話までの距離を赤い円で描いています。3つの円の交点の座標を求め、そこに携帯電話があると判断します。

 この例ではあまり誤差が出ていませんが、BLEビーコンは通信の出力が低いため、他の電波の反射や干渉によって精度が低くなる可能性があります。
 特に金属やコンクリートの壁などの障害物が多い環境では、測位精度が低くなって、測定結果に誤差が出ることもあります。

<想定される今後の活用方法>

 BLE Beacon方式は低電力の近距離無線技術であり、障害物が多い場合に測位精度が低下する懸念があります。

 逆にいえば、金属やコンクリート壁に囲まれた空間(会議室など)の中にいるかどうかを判断することは可能だ、とも言えます。

 会議室使用状況の確認のほか、工場では危険物を保管してある地域に侵入したことを検知したり、シェアオフィスでのフロアの最終退出の確認にも活用が期待されます。

 BLE Beaconの設置には、機器の購入費用もかかりますので、Beaconの特性を活かして、フロア全体の把握よりもむしろ、特定の場所に誰かが入ったことを検知するという使い方をお勧めしています。

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株式会社システムコンサルタント 第一営業部


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