【考察】ソフトウェアをSaaS型クラウドサービスで提供することはできるのか?

はじめに

みなさま、こんにちは。突然ですが、皆様はSaaS型のクラウドサービスについてどの様に感じていますでしょうか。私が良くお聞きするのは、

「手軽に始められて、手軽に利用を止められる」
「新機能が追加される速度が早い」
「サーバーやソフトの管理から解放される」
「サブスクリプション制なので、初期コストが安く稟議が通りやすい」

といった様に、ポジティブな意見がとても多い印象です。
本日は、

「パッケージとして作成されたソフトウェアをSaaS化して展開することはできるのか」

という視点でお話したいと思います。

パッケージソフトのSaaS化は可能なのか?また、SaaS化するためのハードルは?

現時点の所見としては、

「条件さえ整えば、可能」

と思われます。(なんとも曖昧で申し訳ございません…)

というのも、おそらく殆どのソフトウェアベンダーで現状の資産をクラウドサービスで展開できないか、という話が少なくても1度や2度は出ているのではないでしょうか。
そして下記の様な「条件」を検討した結果、ペンディングになっているケースが多いのかなーと勝手に推測しております。

ではそれは一体どんな「条件」なのか、一度整理したいと思います。

  1. サーバーやソフトウェアの管理
  2. ソフトウェアの保守性
  3. 既存でお使いいただいているお客様への影響

1.サーバーやソフトウェアの管理

ソフトウェアをSaaS化するということは、「お客様にサービスをご利用いただく」、ということです。従前お客様はサーバーやソフトウェアを購入・構築していたため、サービスの稼働状況はお客様自身が担保する必要がありました。SaaS型のメリットにも上げましたが、この「担保する」という負荷をできるだけ減らし、サービスだけ受ける事ができることがSaaSの大きなメリットだと思っています。

ですので、SaaS型ではソフトウェアベンダー側がサーバーやソフトウェアの管理を担保する必要があります。今まではある意味でソフトウェアの開発だけを行っていれば良かったので、運用面をカバーするようなノウハウがある企業は少なく、SaaS化に踏み切れない条件になってしまっているのでは…?と認識しています。

2.ソフトウェアの保守性

ソフトウェアのソースコードは、その企業の財産です。そのためソースコードは非常に丁寧にコーディングされ、且つセキュアに保護されている(と思われる)のですが、歴史のある製品であればある程これまでの蓄積が多く、SaaS型のサービスに最適なコードになっていない可能性があります。

現状SaaS型で提供しているWebサービスは、そういったサービスをベースに考えられたプログラミング言語で構築されており、Docker等のコンテナ環境でも快適に動作させることを前提としたコーディングや管理形態になっています。例えばテストが自動化され、マルチプラットフォーム対応は開発者は意識することなく設計ができる、こういった作業の簡便化は最新の開発プラットフォーム上の方が遥かに簡単に実現させることができます。

やはり開発歴が長いソフトウェアほど、こういった開発プラットフォームへの移行が難しく、結果SaaS化しても開発の視点ではメリットを享受しにくいのではないか…と感じています。

3.既存でお使いいただいているお客様への影響

SaaS型の特長してもう1つ大きな点は、月額利用を基本としたサブスクリプション型の提供です。これにより初期投資を安くし、数ヶ月利用後不要であればサービス利用を終了する、といった事が可能となっています。

現状パッケージとして開発していたソフトウェアを技術的に最適解、SaaS型として販売できれば、今まで提案できなかったお客様への道も開けるのではないでしょうか。

一方、既にソフトウェアをご利用いただいているお客様は基本的にはソフトウェアを購入し、オンプレミス環境、またはクラウドのIaaS環境上でご利用いただいています。企業としては双方の形式で販売・保守を継続する必要があるため、SaaS部隊としてのリソースを確保する必要があります。

パッケージとしては1つなのに、インフラの違いによってリソースを割く必要がある、ということを経営者に理解してもらう前に、話がペンディングになってしまうケースもあるのではないでしょうか。

最後に

SaaS化するためのクリアすべき「条件」を並べてみて改めて感じたのは、常に新しいことにアンテナを張り、取り入れようとする姿勢の重要さです。

弊社でも長年パッケージソフトウェアの開発・販売・サポートを行っておりますが、SaaS化は弊社にとっても大きなビジネスチャンスであると同時に、お客様にとっても必要なご提供形態になっていると認識しております。

上記の様な「条件」をクリアしつつ、今後もお客様が望んでいる形を最優先に、弊社サービスを提供できればと考えております。

堅い話になってしまった中で、最後までお読みいただきありがとうございました。よろしければ、下記記事もご覧いただけますと幸いです。

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2020年7月28日