データサイエンティストが不足する今、自社でどう対応するか?

弊社のブログで以前、データサイエンティストの活躍範囲や誕生の背景についてご紹介しました。

今回はデータサイエンティストがなぜ不足しているのかを確認したうえで、データサイエンティストの今後の在り方について考えていきます。

なぜデータサイエンティストが不足しているのか?

IT人材不足は以前より話題として出ており経済産業省によると2015年ではすでに約17万人、2030年では約59万人もが不足すると予測されており、米国の調査会社ガートナーによると、日本でも将来的には25万人ものデータサイエンティストが不足すると発表されています。

データ活用の需要の高まりによる人材不足

データサイエンティストについては2010年ごろから注目され始めた職業ではありますが注目され始めた時期にはまだ実用化が遠くブームは一時鎮静化していました。しかし、技術の進歩によって実用的にAIを活用できるようになったり人手不足や働き方改革といった流れもあり、再び注目を集めています。

ビックデータの活用など、以前よりも需要が増えたことによりデータサイエンティストの不足がますます加速してしまいました。

必要スキルの多さ・人材育成の遅れ

また、不足している理由は上記のほかにもデータサイエンティストの扱う領域の深さ、責任の重さが関係しています。その職業柄、機械学習モデルの構築スキルやデータベース、データ処理にまつわる知識など必要とされるスキルもより専門化・高度化します。
年々新しくなるプログラミング言語や大量データ処理の技術もキャッチアップしなけばならなく、技術や知識に加えて、分析から得られた示唆を伝えるコミュニケーションやビジュアライゼーションの能力も欠かせません。以上のように求められるスキルが多く、それに適する人材の育成が追い付いていないことも原因となっています。

アメリカと日本のデータサイエンティストを取り巻く環境の違い

ここで急ですが、アメリカと日本とを比べてみましょう。米国では学生に最も人気のある職業ともいわれている「データサイエンティスト」。

glassdoor(米) 「50 Best Jobs in Ameria for 2020」では3位に輝き、2016年から2019年はなんと4年連続で首位に立っていました。

Linkedin(米) 「The most promising jobs of 2019」では1位、 「2020 Emerging Jobs Report」では3位にランクインしています。

それに対し日本では以下のような記事があるように

多くの学生がデータサイエンスを専攻し年間4000人の統計学の収支が生まれている米国に対し、日本の育成は始まったばかり

出典:米国年4000人、日本ゼロ。データサイエンス修士の落差、日本はどう埋める
https://globe.asahi.com/article/12844087

日本はもともと統計専門家がアメリカより少なく、専門で学べる学部学科もなかったためそもそもの人材が少ないこともデータサイエンティストが不足している原因でもあるとも言われています。

ちなみに、日本の中高生(男女別)のなりたい職業はソニー生命の調査「中高生の思い描く将来についての意識調査2021(調査期間:2021年6月9日~6月17日)」によると、データサイエンティストはランクインしていないようです。

日本におけるデータサイエンティスト育成に対する取り組み

欧米では企業が大学のデータサイエンス学部と協力してデータサイエンティストの育成を進めており、それと比べると日本のIT教育は出遅れてしまっている面もあります。

しかし2020年からは小学校でプログラミング学習が必修化するなどの取り組みがされています。

またデータサイエンティストの需要増を受け、滋賀大学と横浜市立大学はデータサイエンス学部を設立し、東京大学では数理・データサイエンス教育プログラムを開設したりと、育成するための機関が整い始めてきています。今後はデータサイエンティスト不足解決のために、大学との連携や講座などを利用して、データサイエンティストの育成が進んでいくと思われます。

一般企業においても自社努力で必要人材を増やす試みが始まり、データサイエンティストに限らず、IT人材不足への対策が取り組まれています。

2022年3月に公開された一般社団法人データサイエンティスト協会「データサイエンティストの採用に関するアンケート」をみると、データサイエンスに関する課題を部署の内部で解決するニーズが高まっていることが伺えます。

自社でできるデータサイエンティスト不足への対応

自社に不足しているデータサイエンティストのスキルをツールで補う

分析作業をAIやBIツールを用いて自動化することで、データサイエンティストが不在でもデータを活用する場面を増やすことができます。

ノーコード・ローコード開発ができるツールを使えば、プログラミングスキルがなくても自社の業務にあった形でタスクを自動化し、分析業務を効率化することも可能です。

ノーコード・ローコード開発はDXとどう関わってくる?今までの開発との違いは?

2021年10月15日

全社のITリテラシーを高める

データサイエンスに関する課題を部署の内部で解決するニーズが高まっていることからも、全社でデータを扱うことに抵抗がない人材はどんどん増やしていって損はありません。

そのため、全社でITリテラシーを高めていけるような教育環境を整えていくのも方法の一つです。

使い方のセミナーやeラーニングコンテンツが充実しているようなツール・サービスを利用すれば、社内で教育を行う際の手間を省くこともできます。

特にeラーニングはスキマ時間で視聴可能です。自社の状況にあわせ、それらを活用してみてはいかがでしょうか。

データはどんどん増えていく、データ分析も広まっていく…!

通信機器の発達や、ネットサービスのますますの普及によりビックデータの収集や蓄積が容易になり、そのデータの量は急激に拡大していくといわれています。
そうしたビックデータを分析・活用し効果的なマーケティングや事業計画へとつなげることはこれからの時代に企業が生き残っていくためには必要不可欠となっていくでしょう。

ビックデータがより重要視されるにつれて、これらを分析・加工しビジネスへ活用することのできる「データサイエンティスト」の存在はより大きなものとなっていきます。 引く手あまたの状況でますます人材不足が顕著になっていくなか、人材を生み出すような取り組みももちろん重要ではありますが、一人ひとりが最低限の知識を持ち、「データサイエンティスト」まではいかないにしてもデータ活用に対して社内全体で取り組める体制を持っていることが重要となります。

また、機械学習の自動化やソフトウェアの導入によって、高度なスキルを持っていない人材でも現場でデータサイエンティストを目指せるような環境が増えてきています。知識をつけ活用していくことで、自社の中で「データサイエンティスト」的な存在やそのような体制を作り出していけるのではないでしょうか。

おわりに

学生時代にデータサイエンティストとしての教育を受けてきた方々の活躍も楽しみですが、彼らが配属される前に会社として今一度データ分析ついて基礎知識と合わせ社員のレベルを上げることに越したことはないでしょう。こういった1人1人のレベルを上げていくことも、将来的にはデータサイエンティスト不足の解消へとつながっていくのではないでしょうか。

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データサイエンティストとは?活躍分野や誕生の背景をご紹介!

2020年6月25日